トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) 点線部分は推定トレース
矢坪ヶ岳〜今淵ヶ岳 (873m・1048m 美濃市) 2008.1.6 晴れ 13人
矢坪集落馬頭観音前(7:47)→丸木橋(7:57)→展望岩場(9:00)→矢坪ヶ岳山頂(10:16-10:30)→874mピーク(10:52)→約940mピーク・昼食(11:33-13:08)→985mピーク(13:31)→今淵ヶ岳(13:58-14:12)→展望地(14:36-14:42)→鉄塔(15:03-15:18)→林道(15:36)→瀧神社(15:49)
【参加者】カッペさん、葵のMさん、hiraさん、Kさん、ミツルさん、sizukaさん、ドルフィーさん、ブルさん、katakuriさん、和たん、ジオンさん、RAKU、らくえぬ
美濃市には名山が多い。誕生山・天王山を前面に、片知山から瓢ヶ岳へと南北に連なる峰の西側には、矢坪ヶ岳から今淵ヶ岳への峰が連なる。数年前に矢坪ヶ岳と今淵ヶ岳はそれぞれ登頂しているので、この間の稜線をいつかは縦走してみたいと思っていた。突然、カッペさんから「矢坪ヶ岳・今淵ヶ岳縦走オフ会に参加しませんか」とのメールが届いた。行きたかったコースなのですぐに参加表明。そんな時、ミツルさんから「1月3日に高賀山、大雪で撤退」の情報が届いた。年末の大雪の直後、高賀三山の1つである今淵ヶ岳も大雪に違いない。矢坪ヶ岳往復に計画変更されるだろうと思った。
美濃市に集合。今回のメンバーは13人。急登、ロングコースも難なくこなすベテランばかり。hiraさん、Kさん、ドルフィーさん、和たんは久しぶりの対面。一昨年も冬季にこのコースでオフ会が行われており、雪のあるこの時期、経験者がいなければ歩けないコースである。ミツルさんの高賀山大雪報告があったことから、予想どおり当初計画を変更して矢坪ヶ岳山頂から先へ稜線を半分ほど歩いて昼食とし、その後引き返すことになった。そのため、今淵ヶ岳の下山地点となる瀧神社に車をデポしないことに。
美濃ICから長良川右岸を北上、武芸川右岸を西進し、美濃和紙会館手前の蕨生の集落で右折して北上。約2km走ると突き当たりの矢坪の集落に着く。集落の一番奥に神社があり、その手前左側に馬頭観音の小さなお社がある。この東側の空き地に駐車させてもらい、身支度。北には屏風のように矢坪ヶ岳の峰が迫る。急峻な山だ。7年前にこの地に立った記憶が蘇った。
神社の鳥居の前を北に歩いてすぐに「矢坪岳登山道」の大きな表示が現れる。以前はなかったことから最近設置された看板と思われた。杉林の中に入りすぐに丸木橋が現れる。いかにも滑りそうな心細い橋であり、誰もが川に下りて通過。雪はところどころにある程度。赤い実を付けたフユイチゴがたくさんある道を会話をしながらジグザグと登っていく。
この辺りは人家に近く、いくつかの踏み跡が残っており、登山道と間違いやすい。派生している踏み跡には枯れ木が横たえてあった。それでも間違いかけた。右山でなだらかにトラバースしていくと行き止まりとなり急な谷の登りとなる。どうみても登山道とは思えない。先頭から道が消えたとの声。みんなで道を探す。前回もこの辺りで道を見失ったらしい。谷の左右で道を探すと、右側にプラスチック階段のある道が見つかった。谷手前で分岐する道を見落としたようだ。
右に谷を見ながら尾根状の道を登っていく。1時間弱歩いて休憩。ジオンさんのザックにお菓子の袋がぶら下がっており、このお菓子をいただく。この時期にしては寒くなく長袖シャツ1枚になる。急な岩場を通過してヒノキ林を抜ける。矢坪ヶ岳名物の急登が続く。右山でトラバースする辺りに展望の良い場所がある。南側には真っ白な雲海の上に誕生山が美しい山容を見せる。ここから尾根を西側へ回り込んで岩場を登ると、北へ続く登山道とは反対側へ道があり、10mほど踏み込むと南側に突き出た松の木のある岩場に出る。矢坪ヶ岳ではここが一番の展望台であろう。左に松鞍山、右へ誕生山、天王山、そして権現山が雲海の上に連なる。すばらしい展望であるが高圧線が横切っているのがおしい。ここで展望に興味のあるメンバーだけが5分ほど撮影会。
展望地を後に、再び急な岩場を登り切ると、ここでも松鞍山方面の展望が得られた。人工林を抜け、岩をよじ登り、直線の急な尾根を登る。ここで2回目の休憩。急斜面で休息するような雰囲気ではないが、この辺りで休息しておかないとこの先の急登がきつい。急斜面は続く。次第に雪が多くなり、山肌一面が雪で覆われるようになった。雪を踏んでの急登。ひたすら登る。
休憩から30分ほど登ると雪も深くなりササが現れた。青空が近づき、ようやく天然林の緩斜面となり、適度な雪を踏みしめながら歩く。道は雪の下であるが、古いテープが目印となる。小鳥がさえずる。なだらかになって10分ほど気持ちのいい木立の中を歩くと矢坪ヶ岳山頂に到着。かつて反射板があったのであろうか。人工物を撤去した広場と三角点のある山頂は木々に囲まれて展望はない。以前に登ったときのことが思い出された。日当たりのいい三角点付近の雪はなかった。
三角点の前で記念写真を撮って北へ続く稜線を緩やかに下る。雪は深くなったが重い雪で締まってきており、ツボ足でも歩ける。10分ほどゆるやかに下って鞍部からゆるやかに登り返す。右には片知山の尖った山頂が樹間に見える。この先、小さなピークをいくつか越える。広い尾根もあり、アカマツも目立つ。左は人工林が続く。カモシカの足跡を見ながら、木立の影の縞模様を踏んで歩く。時折、木の上に残っている雪が落下して直撃を受けるのがおもしろい。
尾根が狭くなり小ピークを越えてすぐに874mピークを通過。ここから人工林の急斜面を急降下。雪で滑りやすいので木につかまりながら下った。下りきったらすぐに人工林との境を標高差50mほどを登り返す。15分ほどで登り切って、天然林の雰囲気の良い広いゆるやかな起伏の尾根を歩く。2つほどの小ピークを越えて、古いテープを追う。雪は20〜30cmほど。右手には瓢ヶ岳へ続く稜線が、左には武芸川が望めた。
ゆるやかに登りさらに広い雪原に出る。この稜線では最も広い平らに近い場所である。揖斐川町の大立の山頂を思わせるすばらしい場所で、標高は約940mの地点。ここで昼食にする。頭上から雪の落ちてこない場所を選んで、持ってきたミニスコップで雪の円卓を作った。スノーシューの和たんがテーブルを踏み固め、周囲にはベンチを作る。会場ができたら、一気に宴会に突入。
テーブルの上はすぐに食材でいっぱい。ミツルさんの今日の鍋は、卵や肉の詰まった宝袋。これにはびっくり。何と、大きな2つのビニール袋に宝袋がいっぱい。一人2個の割り当てで、これだけで満腹。ジオンさんは焼き物シリーズ。ドルフィーさんのウインナーソーセージを焼いて、次に牛肉、しいたけなどフライパン料理。katakuriさんの昆布巻きや肉だいこんはさすがプロの味。餅入りラーメンまで登場。珍しい酒粕焼きはカッペさん。我々はドライカレーと燻製2種、きなこ餅。ブルさんはおいしいチーズの燻製。大騒ぎのランチに「こういう場面は久しぶりなので・・・」とKさんが固まっていた。盛り上がったランチの締めくくりはいつものようにコーヒータイム。お菓子付き。
予想に反してここまで雪が余りないことから、今淵ヶ岳まで縦走する案が再浮上。問題は矢坪集落の駐車地点までの足がない。そのため、すでにこのコースを縦走したことのあるhiraさんとKさんが今来た道を引き返して車を回収し、今淵ヶ岳の登山口の瀧神社まで迎えに来ていただくことになった。ご両人に感謝。後片付けをして、hiraさんとKさんを見送って出発。
下って登り返し、人工林を抜ける。モミの木が乗った大岩の横を通過。人工林との境を10分ほど登って985mピークへ。このピークは今淵ヶ岳の南にある最後のピーク。前方に今淵ヶ岳の大きな三角形が現れる。今淵ヶ岳山頂から左へ下る尾根は、この先下山する尾根となる。稜線縦走もいよいよ終盤。このピークからわずかに下って今淵ヶ岳の登りにかかる。標高差約80mを登っていく。ジオンさんはスノーシューで先頭を独走態勢。和たんもスノーシューで樹間トレッキング。カッペさんは膝と腰を痛めてゆっくりペース。20分ほどで登り切って今淵ヶ岳山頂へ。
北東が切り開かれているが、木々が多く下界を望むことはできない。ちょうど南岳が中央に見え、瓢ヶ岳が左にかろうじて見える程度。遠くには中央アルプスの白い峰が連なっているが、残念ながら御嶽山は見えなかった。今日、今淵ヶ岳への登山者があったようで、瀧神社方面へのトレースが残っておりラッキー。ここでも記念写真を撮って15分ほど休息。
ワカンを持ってきたので、今シーズン初のワカンを体験することに。山頂から南西に延びる尾根を目指して、まずは天然林の急斜面を下る。かなりゆるんだ雪をワカンで踏み、滑るように下った。左には樹間に先ほど歩いてきた稜線が望めた。稜線の窪みから遠くに誕生山、その手前に見えるのは矢坪ヶ岳の北にある874mピークであろうか。登山道には最近付けられた赤ペンキが賑やかだ。
10分ほど雪の斜面下りを楽しんで人工林にぶつかった。雪で道が分からないときは直進してしましいそうな場所であるが、トレースとペンキに従って右へ。ヒノキの幼木を左に見ながら人工林と天然林の境の尾根を下っていく。右には深い谷が見下ろせた。尾根は上り気味のところもあるが、一直線の下り。モミの木もいくつか見られ、ちょうどイチョウの葉の形をした薄いモミの実が雪の上に散らばっている。尾根の左側へ回り込むところもある。
山頂から25分ほど下ったところに展望地があり、後方左に985mピークが大きく望めた。さらにそのすぐ先にも展望地があり、南から西の展望がすばらしい。相戸岳がきれいに見えた。雪が少なくなったのでここでワカンを外す。展望地で山の同定を終えたら下山開始。ここからかなり急斜面もあり、木につかまって慎重に下ったが、それでも雪に足をとられて転倒者続出。20分ほどで切り開かれた鉄塔下に出た。
ここで20分ほど休憩。南の谷筋の先に権現山が望めた。鉄塔下から深い雪の斜面を北へトラバースして人工林に入り、ジグザグと下って谷を渡り、谷沿いに歩いて林道に出た。林道の登山口には以前は木に「イマフチ」と赤ペンキで書かれてあったが、その字は消えかけ、岩に赤ペンキの大きな矢印が新たに描かれていた。雪で倒れたヒノキの幼木を起こしながら、10分ほど雪の林道を下り瀧神社上部の舗装道路に出た。既にhiraさんとKさんの車が到着していた。hiraさんの車に乗せてもらい、矢坪の車を回収して、乗り切れなかったミツルさん、和たん、らくえぬの3人を迎えに戻った。
カッペさんをはじめ山の達人の皆さんのおかげで念願の矢坪ヶ岳・今淵ヶ岳を縦走することができた。特にhiraさん、Kさんには感謝。この雪の時期に縦走できるなど考えもしなかっただけに、うれしかった。また大勢の仲間と歩けて思い出に残る楽しい山歩きとなった。
矢坪ヶ岳はとにかく急登の連続で、また尾根に取り付くまでは道を誤りやすい。樹林帯の中ではGPSが機能しない場所もある。さらに雪がある場合はかなり危険な状態となる。矢坪ヶ岳からの縦走路は古いテープがあり、常に最も高い位置の稜線をたどれば今淵ヶ岳に到達できるが、夏道の状況は分からない。深山でエスケープルートもない。今淵ヶ岳からの下りはペンキのマーカーがあるが、雪の時期には急斜面で滑りやすい場所や尾根を誤りやすい地点もある。今回はこの時期にこのコースを熟知しているメンバーの案内で登ることができたが、いずれにしても雪の時期には安易に登るコースではないと思った。
帰路、武芸川の堤防から、低くなった太陽の日差しを浴びたセピア色の矢坪ヶ岳が美しい山容を見せてくれた。
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