トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

三俣蓮華岳・双六岳 (1日目) (2841m 2860m 高山市) 2015.9.4〜9.6 雨・曇り・晴れ 4人

<9月4日 晴れ・曇り・一時雨>
深山荘前駐車場(6:45)→新穂高バスターミナル(6:55-7:05)→わさび平小屋(8:25-8:40)→奥丸山分岐点(9:00)→秩父沢(10:06)→イタドリガ原(10:51)→シシウドガ原(11:26-11:31)→鏡平山荘(12:23)
<9月5日 晴れ>
鏡平山荘(5:59)→弓折乗越(6:53)→花見平(7:12)→双六小屋(8:07-8:23)→巻き道分岐(8:43)→三俣山荘分岐点(10:20)→三俣蓮華岳山頂(10:47-11:15)→丸山山頂(11:44)→双六岳山頂(12:35-13:47)→巻き道分岐点(14:31)→双六小屋(14:45)
<9月6日 曇り・雨>
双六小屋(6:17)→花見平(7:08)→弓折乗越(7:19-7:25)→鏡平山荘(8:00-8:28)→シシウドガ原(8:58-9:05)→イタドリガ原(9:21)→秩父沢(9:47-10:14)→奥丸山分岐点(10:51)→わさび平小屋(11:06)→新穂高バスターミナル(12:42-12:52)→深山荘前駐車場(13:00)

★9月4〜6日に三俣蓮華岳と双六岳に登ってきました。目的はリピート山中コンサート。
★TOMUさんと3人で新穂高をスタート。時折、小雨の降る中、小池新道を登って鏡平山荘へ。
★夕食後、リピートさんのコンサートで山荘は大盛り上がり。
★満点の星空、鏡池に映る夜明けの槍ヶ岳に感動。
★2日目は槍穂高を見ながら双六小屋の上部から巻き道へ。
★後方に槍、前方に鷲羽を見ながら、まだまだ咲き乱れる花畑の中を三俣蓮華岳山頂へ。
★薬師岳や黒部五郎岳など目の前に広がる大展望に、ここでも大感動。
★三俣蓮華岳を後に丸山を越えて双六岳山頂へ。
★草紅葉が始まる砂礫の丸い台地の向こうに立ち上がる槍ヶ岳の絶景を見ながらランチ。
★双六小屋でSAKAさんと合流して、2日目のリピートコンサートを楽しみました。
★天気に恵まれ、4人で久しぶりの北ア夏山を楽しんできました。


 「♪ 加藤文太郎 あなたが愛した山であなたの名前を歌う 加藤文太郎 あなたの話を山で出会った仲間と語る  ♪」 ギターを担いで北アルプスや富士山などに登り、山小屋コンサートや山頂ライブを行っているシンガーソングライターのリピート山中さんが歌う山の歌の代表作「加藤文太郎の歌」の一節。

 双六小屋では10年以上前から山小屋コンサートが開催されている。NARIさんから双六小屋コンサートにずいぶん前から誘われていたが、なかなか実現しなかった。そして、今年はコンサート開催日に予定を入れないようにした。参加者はいつものメンバーからSAKAとTOMUさんの参加を得て5人。ところが、直前になって企画したNARIさんが参加できなくなった。SAKAさんも金曜日に都合がつかなくなり、2日目の双六岳山頂で合流する計画とした。1日目は親子ほど歳の差があるTOMUさんと3人で登る。久しぶりの2泊3日の北ア登山だ。

 9月でも休日は新穂高の深山荘前の駐車場は朝には満車になることが多い。このため、3日の夜にTOMUさんと3人で出発。0時前に新穂高に到着。平日であり、天気もあまりよくないことから、駐車場はかなり空いており、一番奥に停めるこができた。その後、車が次々と到着し、朝にはほぼ満車状態。前夜泊して正解だった。

 初日は、鏡平山荘までであり、時間の余裕は十分にあるので、7時出発の計画。深夜、かなり激しい雨が降ったが、起きてみると雲が上がり始めていた。天気はよさそうだ。車の中で、パンとおにぎりの朝食を簡単に済ませて、靴を履き替え、2泊3日の山旅の一歩を踏み出す。

 何度も歩いた駐車場から新穂高バスターミナルへの舗装道を歩く。雨でぬれた広い駐車場を横断すると、以前あったトイレは撤去されており、新しくなった新穂高センターの中のトイレに寄った。登山届ボックスの前には何人かの登山者が届け出用紙に記入しており、登山届の条例制定の効果が現れているようだ。我々も作成してきた登山届をボックスに入れてバスターミナルを後に、蒲田川を渡る。昨夜の雨で、蒲田川の水量は多く、ゴウゴウと激流が流れている。

 雲が切れて、周囲の山々が朝日に照らされて緑が輝く。NARIさんに「最高の天気の中、新穂高を出発しました。」とメールを送った。左俣谷の標示に従って車道を歩き、車止めのゲートを通過。カーブしながら、中崎山の裾野を歩く。わさび平小屋まで長い林道歩きであるが、道端の花や木を見ながらの歩きは退屈しない。雲が上がり青空がまぶしい。周囲の山の上部が次第に見え始めた。

 激流の川を左に渡り、正面に下丸山を見る。笠ヶ岳新道の入り口で冷たい水を飲んで一息つく。サラシナショウマやツルニンジン、ソバナ、ジャコウソウなど草花もにぎやかになり、写真を取りながら歩く。歩き始めて1時間20分でわさび平小屋に到着。川の水を補給し、トイレに寄る。

 わさび平小屋を後に、樹林帯を抜けると河原のような明るい道になる。笠ヶ岳側には巨大な堰堤が完成していた。奥丸山への分岐点を通過。鏡平まで3時間30分の標示。ここから山道となる。川を渡り、まだ残る雪渓を見ながら石の積み重なった道を、前方の登山者を追って登る。谷を渡り、石の道を登る。

 NARIさんからメールが届いているのに気がついた。「羨ましいかぎりです。」と、 メールを読んだとたんに、いつの間にか雲が広がった空からポツポツと小雨が降り始めた。早朝はとても雨が降るような空模様ではなかったが、NARIさんからのメールが雨を降らせたのでは・・・そんな話をしながら歩く。小雨ではあるが、どうも止みそうにない。展望のいい場所で、何人かの登山者が休憩していたので、ここで一息ついて、雨傘を出しザックカバーをかけた。小雨であり、レインウェアーを着るほどでもない。

 秩父沢を渡り、さらに谷を渡る。石の積み重なったようなところには「チボ岩」とペンキで書いてある。雨の中、黙々と歩く。この状況では予定していたラーメンの昼食を作るのは無理なので、木の下で傘をさしながらクラッカーなど行動食を食べた。樹林帯を抜けて、明るい場所に出ると、ここがイタドリガ原。雨は幾分強くなり、レインウェアーを着ようかと思ったが、振り返ると雲が上がり始め、谷が見下ろせた。雨は止みそうなので、傘のまま歩いていると、予想通り雨が止んだ。

 イタドリガ原から10分ほど登ったところで荒れた沢に出た。鉄砲水が流れたような涸れた沢で、道が途切れている。沢の左側を上に歩くようにロープが設置してあり、ロープに沿って登り、沢を渡った。雲が上がる山に向かって歩き、ミヤマシシウドの花がたくさん咲いているシシウドガ原に到着。ザックを下して休憩。空は明るいが谷から雲が湧き上がってきており、いつ雨が降り出すかわからないので、昼食は鏡平でとることにして、先を急ぐ。

 イタドリガ原から道は折り返すように右に向かい左山で歩く。道は比較的緩やかになり、オヤマリンドウやゴゼンタチバナ、アカバナなどが見られるようになった。赤く色づいたイチゴはベニバナイチゴで、食べてみるとあまり美味しくない。浅い谷に沿って歩く。キヌガサソウやタケシマランの実などを見ながら「熊のおどり場」と書かれた木道を通過して、「鏡平マデ500m」と書かれた岩を見る。さらに鏡平山荘まで「あと5分」の標示を過ぎて、ササの道を歩くと、木道となり鏡池に飛び出した。

 目の前に見えるはずの西鎌尾根や槍ヶ岳は中腹以上が雲に隠れている。池には後で寄ることにして、オヤマリンドウやチングルマの綿毛、紅葉し始めたコバイケイソウを見ながら木道を行くとすぐに鏡平山荘に到着。途中で昼食をとらなかったことから、予定よりもかなり早く山荘に到着できた。

 チェックインする前に、山荘前のテーブルで昼食にする。ガスストーブ2台でラーメンを作った。風が強く、寒いのでジャケットを着て、熱いラーメンを食べた。山荘の前には「氷」の旗が風で揺れていた。氷はこの山荘の名物であるが、さすがに今日は寒く、温かいものがいい。

 昼食の後、受付。120人収容の山荘に、今日は100人ほどが泊まるとのこと。1枚の布団に1人で、余裕で寝れる。入り口に近い下の段の宿泊場所に荷物を置いて、談話室でゆっくりすることにした。時間は十分にあり、山小屋でこんなにゆっくりするのは久しぶりである。談話室のテーブルでホットバーボンを3人で楽しむ。山で飲むバーボンは最高に美味しい。お湯は廊下に置いてあり、湯を沸かさなくてよかった。

 お酒を楽しんだ後、外に出てみると、雲が上がって西鎌尾根が見える。池まで行ってみるが、槍ヶ岳はまだ見えない。山荘に戻って、横になりうとうとしたところで、山荘入り口がにぎやかになった。リピートさんがスタッフとともに到着。久しぶりにお会いするリピートさんや相棒のタッキーさんに挨拶。NARIさんが来れなかったことを伝えると、しばらく会っていないと残念な様子。

 コンサートがあることから、夕食は通常よりも早くから始まった。食堂は45分の3回転で、我々は1回目の4時半から。この山荘の夕食は実に豪華で食べきれないほどのボリュームがある。ビールを飲みながら美味しい夕食を楽しむ。コンサートが始まる7時まで十分に時間があるので、再び山荘の周りを散策。夕暮れが近づく中、青空も見え始め、白い入道雲が鏡池に映って美しい。6時過ぎまで池の前で写真を撮った。

 山荘に戻ると、食堂のテーブルが片付けられており、7時前にコンサート開始の案内があった。最前列のかぶりつきでコンサートに参加。リピートさんの曲は山の歌が多く、山屋のファンが多い。そのため、山小屋で行うコンサートは大いに盛り上がる。鏡平でのコンサートは急遽開催されることになり、リピートさんを知らない人も多かったようだ。

 山の歌では代表作の「加藤文太郎の歌」や「白い花が好き」、「双六酒山等無い無い小唄」、「涸沢のうた」など。また、懐かしいフォークソングや大笑いの替え歌、さらに新曲の「播隆の風」の発表もあり、大いに盛り上がった。お笑い+シンガーソングライターであり、話も面白い。アンコールもあり、1時間以上のコンサートを大いに楽しんだ。

 コンサートの後、外に出てみると槍ヶ岳山荘の明かりが見えた。鏡池からは満点の星が頭上にきらめいている。あまりにもたくさんの星があり、夏の夜の大三角形を見つけるのも苦労するほど。ジャケットを着ているのでさほど寒くもなく、首が痛くなるまで星を眺めた。一瞬、流れ星が尾を引く。明日は天気がよさそうだ。

2日目につづく
★三俣蓮華岳・双六岳の植物



 山のリストへ