小津権現山 (1158m 久瀬村) 2001.10.21 曇り一時小雨 3名

登山口駐車場(8:20)→ロボット雨量計跡(9:11-9:25)→高屋山(9:45-9:50)→前衛峰(10:26)→小津権現山(10:55-12:00)→登山口駐車場(13:35)

 岐阜市内から北の峰々を眺めると、東方に高賀山のピラッミド。そして、西方に槍を思わせる特徴ある山容。これが小津権現山である。今年4月、妙法ヶ岳から真っ白な鋭角の小津権現山を見たとき、なんとしても登らなければならない山と決め込んだ、まさにあこがれの山。同じ思いを抱くアウトドアの達人、Yさんと7時に集合し、3人で山頂を目指す。

 午前中は晴れと予想された天気予報は悪い方にはずれ、朝から曇り。雨は降らないとの予想を信じて、揖斐川堤防を北上する。堤防からは小津権現山の特徴ある山容が一番奥の山並みにシルエットとなって見える。昼にはあの山頂に立っていると思うと、何か信じられない気がする。

 国道303号線を北上し、長い2つのトンネルを抜けて久瀬村役場角の信号を右折する。なお、この信号機の南にトイレがあるので、利用するとよい。ここから、数分で小津集落。集落を抜たところの左にある小川橋を渡り、逆方向に進むと杉谷林道に入る。そのまま林道を進み、数分で終点の巨大なアスファルト舗装の駐車場に到着。20台くらいは駐車可能である。

 駐車場入り口北側には案内板と登山届ボックスがあり、ここが登山口となる。登山届用紙が設置してなかったので持参したメモ用紙に書いて入れておく。登山道は広葉樹林の中、しばらくは掘割のゆるやかな傾斜の道を歩く。小さなドングリがたくさん落ちている。Yさんによるとコナラのドングリだそうだ。15分ほどで、2本のコンクリートの電柱の横を通る。さらに、ゆるやかな尾根道を進むと、樹林の間から前方に巨大な山がせまってくる。

 すぐにこの山の斜面に取り付き、急登が始まる。まっすぐな登り道は途中ジグザグのつづら折れとなり、一気に高度をかせぐ。木々がしだいに色づいていくのが分かる。紅葉が始まりかけたところである。足下には、ツルリンドウの真っ赤な実が美しい。途中、樹間から南の山並みが見えるところがある。小島山と池田山を北から見ることができる。濃尾平野もちょっとだけ見える。東には妙法ヶ岳とおぼしき山も見える。

 急斜面を左にトラバースして、急登にうんざりした頃、コンクリートの土台だけが残る建物跡の広場に出る。ここがロボット雨量計跡であろうか? (この後の高屋山にも建物後があったが、どちらが雨量計跡であろうか?) 15分ほど大休止して、さらに急登。このあたりにもたくさんのドングリが落ちているが、実が大きい。ミズナラの実らしい。20分ほどで高屋山に到着。山名表示板と3等三角点がある。

 ここから、道はなだらかになり、少し進んでいくらか下ると、前方にきれいなピラミッド型の前衛峰が見えてくる。一瞬であるが、前衛峰の後ろに、小津権現の山頂が見えるところがある。痩せ尾根の展望のよいところでは、今登ってきた紅葉し始めの尾根や妙法ヶ岳が望める。登山道前方には前衛峰が大きい。

 再び急登して、前衛峰に着く。表示はなにもない。ここから30mほど急降下することになるが、この下りには、斜面に張り付いた大きなシャクナゲの群落がある。ドウダンツツジやアカミイヌツゲ、イヌツゲ、ムラサキシキブ、イワカガミなどがあり、まさに日本庭園の中を下っているような気がする。山栗もたくさん落ちている。前方に本丸の小津権現山が現れる。山頂の樹木が切り払われているのが確認できる。

 真っ直ぐに伸びた滑りやすい急坂を最後の力をふりしぼって登ると開けた山頂に出る。山頂には小さな神社が祭られており、その横の木には山名の書かれた板が掛けられている。雲が垂れ込め、北の花房山はガスの中。南には久瀬村の谷間が見える。手前の大きな山は西台山のようだ。その先は雲でよく分からない。

 すぐに、2パーティーが到着。みんな、食事の時間。まずは、ビールで乾杯。景色は今ひとつであるが、ついにあこがれの小津権現に来た。なんとも美味いビールである。食事を終え、コーヒータイムの頃、小雨が降り始めた。急いで片付けをして、隣のパーティーの方に写真を撮ってもらう。その後、滑りやすい急坂を落石に注意して下った。運良く、雨は高屋山を過ぎる頃にやみ、雨具を出すこともなかった。

 ロボット雨量計跡で登ってくる20人ほどの中高年のパーティーに出会った。以前は、登山道も十分に整備されておらず、誰もが登れる山ではなかったと聞いている。今では多くの人が登る。しかし、まだまだ観光化されていない山であり、天然林の中を歩くことのできる、とっておきの名山であることには間違いない。明日から、岐阜市内でこの山を眺めるたびに、今日のこのすばらしい山行の想いを浮かべることができると思うと、なんとも楽しいではないか。天気のいい日に、もう一度、山頂を踏みたい山、「小津権現」。
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