御嶽山1
御嶽山2
御嶽山 (3067m 下呂市) 2004.8.21 曇り 2人

濁河温泉村営駐車場(5:17)→湯の花峠(6:05)→胡桃島キャンプ場分岐点(6:35)→のぞき岩避難小屋(6:39)→お助け水・8合目(7:10)→飛騨頂上五の池小屋(8:18-8:32)→三の池分岐点(8:44)→摩利支天山分岐点(9:03)→白竜避難小屋(9:07)→二の池新館(9:30)→お鉢稜線(9:55)→(左回り)→剣ヶ峰山頂(10:42-12:15)→二の池小屋(12:40)→白竜避難小屋(13:05-13:10)→摩利支天山分岐点・お社(13:23)→摩利支天山山頂(13:41-13:46)→摩利支天山分岐点・お社(14:02)→飛騨頂上五の池小屋(14:32-14:27)→おたすけ水・8合目(15:05-15:12)→のぞき岩避難小屋(15:31)→胡桃島キャンプ場分岐点(15:34)→濁河温泉村営駐車場(16:31)

 町内の盆踊りや火祭りも終わり、一ヶ月ぶりに地域活動から山モードに変更。この休みは1泊で笠ヶ岳を計画したが、前線が南下し、天気は不安定。21日がなんとか晴れそうなので、直前に御嶽山日帰りに計画変更。御嶽山は6年前に田ノ原から王滝口登山道を登り、二の池小屋で1泊した。2日目はひどい風雨の中を寄り道せずに下山したことを覚えている。

 白山同様、岐阜県の山で御嶽山を外す訳にはいかない。美濃の多くの山から望むことのできる御嶽山。御嶽山が見えるたびに、何度、感動したことか。ここ1・2年、御嶽登山を計画したが、天候の都合等で登頂は実現せず。先月、白山を登ったので次は御嶽山。今回は岐阜県側の濁河温泉から飛騨頂上を目指し、剣ヶ峰を踏む計画を立てた。コースタイムでは濁河温泉で前夜泊すれば日帰り可能な距離だ。

 金曜日の夜、夕食を済ませて8時前に家を出た。関−金山線から国道41号線を北上し、旧小坂町から御嶽山の表示に従って国道を左に外れ、突き当りを右折。国道の下をくぐって濁河温泉を目指す。濁河温泉まで38kmの表示。しばらくは集落の中を走るが「ひめしゃがの湯」の分岐を過ぎた頃から谷川に沿って山の中に入っていく。二車線で快適に走れる。

 鈴蘭高原スキー場と濁河温泉の表示板が現れ、濁河温泉の表示に従って右へ。ここから、センターラインは消え、1.5車線ほどの道になる。10時過ぎ。対向車は全く無い。真っ暗な中を最初はぐんぐん登っていく。濁河温泉までの距離数が1kmごとに現れるが、カーブの連続でスピードが出せないこともあり、1kmが長く感じた。御嶽パノラマラインと呼ばれ、展望のいい山岳ドライブが楽しめる場所であるが、とにかく真っ暗。下りと登りの繰り返し。カーブも多く、次第に腰が痛くなってきた。

 温泉手前9kmにあるトイレの広場に車を止めて、外に出て背伸びをした。見上げれば、満天の星。銀河が大きくうねっている。山奥であることを実感したと同時に、人類が誕生したころも同じ光景が夜空を埋め尽くしていたと思うと感動である。それにしても、寒い。高山・秋神温泉の分岐を通過。濁河温泉スキー場を過ぎれば、大きな旅館が建ち並ぶ温泉街に入る。国道から約1時間、ようやく着いた。

 温泉街を一番上まで登り詰めると車止め。最上部の保養所手前に10台以上停められる町営駐車場があり3台ほどが停まっていた。除雪車車庫の前に駐車。保養所のライトで駐車場は明るく、保養所のベランダには浴衣姿の観光客も。アラームを4時にセットし車中泊。

 4時過ぎに、まだ真っ暗な中で身支度をしていると1台の車で到着したパーティーが我々よりも先に出発。頭上の雲が朝焼けでオレンジ色に染まる頃、我々も出発。登山口には飛騨頂上まで4.5km、剣ヶ峰まで5.5kmの表示があるが、途中の表示からすると飛騨頂上−剣ヶ峰間は2.4kmあり、この表示は疑問。登山口にある新しいバイオトイレに寄り、隣のボックスに登山届けを提出。まずは、草木谷にかかる橋を渡る。御嶽山はガスに隠れて上部が見えない。橋を渡り、鳥居をくぐって、御嶽大神ののぼりが並ぶ神社で参拝。サラシナショウマの大きな花穂がきれいだ。

 左に仙人滝への道を見ながら、緩やかに登っていく。木道が続く、急斜面の場所には木製の渡り廊下が設けられている。大きな実をたくさんつけたキイチゴの広場に出ると吊り橋があり、草木谷を再び渡り返す。コメツガの樹林帯の中を、ジグザグに登っていく。道脇には小さなお社もあり、また、ゴゼンタチバナの赤い実やセリバシオガマ、カニコウモリの白い花が彩りを添える。木道は丸木ではなく、縦割りにした木が角を上に組まれており、丸木よりは滑りにくいが、濡れているときは用注意。かなり朽ちている場所では、板を釘で止めて整備してある。中には踏み抜かれた板もあり、木道を外して道ができているようなところも。

 やがて道は深い草木谷を右に見る尾根に出て、真っ直ぐに登っていく。歩き始めて50分ほどで湯ノ花峠の表示。尾根からは草木谷上部の荒々しい崩壊地といくつもの滝となって落ちる白い流れが見られた。飛騨頂上までは2.6km135分の表示。まだ、先は長い。濁河温泉までは1.7km75分の表示。50分で登ってきたのだから、下りに75分というのも疑問。

 雨で木道が流されロープが張られ、新しい道がつけられた場所を通過。この辺りのセリバシオガマの群落もきれいだ。登山道入り口から等間隔でナンバープレートが設置されており、20番のところで最初の休憩。20/42と書かれていることから、終点の飛騨頂上が42であれば100mごとに設置されているようだ。草木谷方向から吹く風ですぐに寒くなり、上着を重ねる。後方には西の山々や道路が望めた。

 ここから10分ほどで胡桃島キャンプ場への分岐点を通過。青い看板に飛騨頂上まで2kmの表示。ここから5分ほどでのぞき岩避難小屋に着く。トタン板を乗せた簡易な小屋であり、「倒壊の危険がありますので建物の使用はご遠慮ください」と、森林管理局の注意書き。小屋の中は半分が板の間になっていた。隣には女性専用とかかれたトイレがある。また、小さなお社と鐘があり、登山の無事を祈願して鐘を鳴らした。

 木道や石積みの整備された道の脇にはゴゼンタチバナやタケシマランの真っ赤な実が目を引く。ブルーベリーそっくりの実をつけている木はオオバスノキであろうか。この実の酸味で元気が出る。マイズルソウやオオバユキザサ、イワカガミなどが群生し、初夏には美しい花の道となるに違いない。この季節にはアキノキリンソウに混じってオヤマリンドウの蕾がふくらんでいた。ここのコメツガ林の登山道はなかなかいい。

 この美しい林を楽しみながら登っていくと、29番お助け水のプレート。すぐ上の小広場には倒壊した小屋やお社があり、雷鳥の彫刻をした表示板には8合目・2450m、飛騨頂上まで80分の表示。しだいに木々の背丈が低くなり森林限界に近づいたことが分かる。

 木道は無くなり、石のごろごろした歩きにくい道を登っていく。左に空き地があり、西〜北の展望地を通過。一部木に邪魔されるが白山・別山が望めた。北には乗鞍が見えるのだか、中腹以上は雲の中。このすぐ上で森林限界。ハイマツ帯に出る。この辺りまで来ると、マイズルソウやゴゼンタチバナはすっかり黄葉し、秋を迎えている。

 再び展望地。振り向いて声が出る。今度は木に邪魔されることなく180度の大展望。幾重にも重なる山並み、浮かぶ綿雲。その最奥には先月山頂に立った白山と別山が優美な姿を見せる。遮る物は何もなく、まるで空中から見下ろすような錯覚に陥る。東の県境から西の県境に位置する白山を望む。あそこまでは岐阜県。岐阜はまさに木の国山の国だ。眼下の緑の中には濁河温泉の建物や駐車場が見える。2時間登ってきた割には近くに思えた。前方は広大なハイマツの斜面。上部はガスが流れる。摩利支天山はガスの中。飛騨頂上手前からガスのようだ。

 歩きにくい石ころの道は続く。イワギキョウが高山であることを告げる頃、今日初めて下山してくる単独男性に出会った。御嶽へのメインロードは王滝口。このコースを利用する登山者は少ない。ガスに入る手前で休憩。気温が低く、今日はあまり水が減らない。岩の上のお地蔵様や遭難碑を見ながらハイマツのジグザグ道を歩く。ハイマツが消え右へ一直線にトラバースして継子岳への分岐を過ぎれば五の池小屋に着く。小屋の前のベンチに座って冷えたフルーツゼリーを食べた。五の池は僅かな水が溜まった小さな池で、浅いこともあり黄色い色をしている。

 一息ついて、剣ヶ峰を目指す。白竜避難小屋までのルートは2つあるが、最短の三の池上部をトラバースするコースを選んだ。青緑色の大きな三の池が雲間から差し込む陽に輝いてきれいだ。イワギキョウ、イワツメクサ、ミヤマコウゾリナ、クロトウヒレン、ヨツバシオガマなどまだ花は残っていた。

 一旦下って三の池への分岐を過ぎ、荒々しい稜線を目指してガレ場を登り詰めると摩利支天山への分岐点。すぐ下にはトイレ付きの白竜避難小屋がある。剣ヶ峰方面は賽の河原の上を西から流れるガスで見えないが、時折、切れ間から二の池新館が現れる。賽の河原はいくつものケルンが立ち並び、その上をガスが流れる様は、なんともファンタスティックである。

 ケルンの間の迷路を横切り二の池小屋を目指す。剣ヶ峰最短コースは二の池小屋の前を直進するが、うっかり地図のコースタイムの起点を間違え、新館から直進しても山頂までは同じ時間だと思い込んだ。過去に歩いていないお鉢を時計と反対回りに歩いて剣ヶ峰を踏むコースを選ぶ。この勘違いが、一時間後に思わぬ偶然に遭遇するとはこの時思いもしなかった。
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