トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 


鷲鞍岳 (1011m 福井県) 2013.5.4 晴れ・曇り 2人

九頭竜国民休養地駐車場(9:05)→登山口(9:09)→林道横断(10:37)→稜線・ベンチ(10:40)→南の展望地(11:01)→鷲鞍岳山頂(11:19-12:33)→反射板(12:37)→ベンチ(12:56)→舗装道(13:56)→九頭竜国民休養地駐車場(14:31)

★ 5月4日に福井県の鷲鞍岳に登って来ました。
★ 九頭竜国民休養地駐車場をスタート。ゲレンデの脇から山道に入り、たくさんの春の花を見ながら稜線を目指しました。
★急斜面の丸木階段をひたすら登っていくと、後方には雪模様の荒島岳や純白の白山・別山が・・・。
★イワウチワの続く急斜面を登り切って、雪の残る稜線へ。眼下に 九頭竜湖を見下ろしながら、美しいブナ林を歩いて鷲鞍岳山頂に到着。
★誰も登って来ない山頂でゆっくりと昼食を楽しみました。
★下山は役場コースの急斜面を下りました。
★役場コースの最後はとんでもない急傾斜のロープ場。慎重に下って車道を歩き、駐車場まで戻りました。
★たくさんの花に出会い、この時期にしか見られない美しい展望を楽しむことができました。
★思ったよりもすばらしい感動の山歩きとなりました。


 連休第二段のコイノボリ登山は、再び福井の山へ。今回は九頭竜湖にある鷲鞍岳に登る。登山口は九頭竜ダムの西にある九頭竜線の終着駅となる九頭竜湖駅の近くにある九頭竜スキー場にある。東海北陸自動車道の白鳥ICで中部縦貫自動車道に乗り換えて、福井県に入る。周囲の山々の山頂付近には雪が見られ、アイゼンを持ってこなかったことを悔やんだ。

 九頭竜ダムを過ぎて、九頭竜湖駅に設置されている恐竜の模型がある道の駅でトイレに寄る。連休であり、小さな農産物直売所は人がいっぱい。山頂で食べる三色おはぎを購入して、登山口の九頭竜スキー場に向う。道の駅から500mほど西に走って、左折し、角野橋を渡り、山に突き当たって右折するとすぐに九頭竜国民休養地の広い駐車場に到着。ホテルがあり、ツーリングのバイクは見られたが、登山者の車は一台も停まっていないようだ。

 靴を履き替えて、ゲレンデに向かう。緑色に染まり始めたゲレンデの上にはこれから登る鷲鞍岳がなだらかな稜線を描く。雪は谷上部にわずかに見える程度。また、稜線まで難なく登れそうな高さに見えるのだが・・・。登山口はゲレンデの右下にある白い格納庫の左にある。格納庫の前には大きなゲレンデ整備の重機が置いてある。案内看板が見えたので、それに向かって行く。ゲレンデにはたくさんのツクシが見られた。看板で、今日のコースを確認。ゲレンデを巻くようにほぼ正方形のコースで周回する。山頂はここから対角線上の位置にある。九頭竜ダムからのコースも描かれている。

 看板を後に、苔むした小さな橋を渡って、杉林に入る。足元を飾るピンク色の花はベニバナミヤマカタバミで、なかなか出会わない花だ。このほか、スミレサイシンやエンレイソウ、さらに杉林を登っていくとヤマエンゴグサやショウジョウバカマ、ボタンネコノメソウ、ハルトラノオなどが道端を彩っている。また、ニリンソウなどキンポウゲ科の花も見られたが、まだ気温が低いことから花は開いていない。いきなりこれほどの花が見られるとは思わなかった。時間を気にすることなく何枚も写真を撮った。

 丸木階段を登り、涸れた谷を左に渡り、人工林を抜けると、芽吹き始めた潅木の道となり、右に谷を見ながら登って行く。この辺りにもスミレサイシンやベニバナミヤマカタバミが続いている。振り返ると、青空の下、まだ多くの雪を乗せた荒島岳が立ち上がっているのに驚いた。クロモジの黄色い花の下を、いくつかの倒木を跨ぎながら歩く。透明のビニールが散乱しており、ビニールが巻き付けられた木も見られる。枯れた大木が多く、おそらくカシノナガキクイムシで枯れたナラ類のようだ。ビニールはキクイムシ防除のために巻かれたと思われる。

 ジグザグと尾根を登る。葉が広がっていないこの時期、展望がよく、左にはスキー場のゲレンデが見える。スタートして1時間以上たち、ほぼゲレンデ上部の高さに達したが、稜線まではまだまだ。老いたブナの巨木を見ながらぐんぐん登っていく。イワナシが可憐なピンク色の花を咲かせている。ユキザサはまだ蕾である。そして、イワウチワの群落が現れる。ちょうど花の最盛期であり、たくさんの花に感動。毎年、一度はこの花に出会わないと・・・。
 
 尾根を左右に移動しながら気持ちのいい天然林の中、昨年の落ち葉を踏んで登っていく。イワウチワの花が次々と現れる。かなりの急斜面もあり、落ち葉で滑らないようにゆっくりと登った。きついが癒される道だ。1時間半ほど歩いて、急斜面にバテてきたところで休息。枯れた大木の下で腰を下ろし、北側の景色を見ながらパンをかじった。
 
 一息ついて、スタート。急斜面の丸木階段を登り、なだらかになると残雪が現れた。残雪で押さえつけられた枝を避けながら進み、再び急な丸木階段に取り付く。あまりの急登に、急斜面の途中で立ち止まって息を整える。振り返ると九頭竜湖駅付近の町並みが見下ろせる。そしてその向こうの山並みの間に真っ白な頂が望めた。白山だ。西の山には林道が見え、この後、この林道を横切ることになる。白山とタムシバの白い花に元気をもらって階段を登る。この辺りのイワウチワも見ごたえがある。
 
 階段を登りきると残雪のある林道に出た。登山道は林道を横断するように続いている。斜面に取り付くとすぐになだらかになり、ブナの大木が立つ落ち葉の広場に出た。ベンチと文字が消えかけた看板があった。「鷲鞍岳遊歩道」と書いてある。ここから左に直角に向きを変えて稜線歩きとなる。前方の高いピークが鷲鞍岳山頂のようだ。右前方下には九頭竜湖が見える。

 雪が大量に残っているところを通過。先ほどの林道に出会うが、登山道はすぐに右に離れて忠実に稜線上に続いている。再び豊富な雪が稜線を覆っており、その上を枝を避けながら歩く。雪の上には足跡がなく、人が登ってくるのは久しぶりだろうか。マンサクの花が咲いている。下界では春本番だが、ここは雪解け直後の早春の季節。登山道は林道の法面の上にあり、北側の展望がすばらしい。左から荒島岳、経ヶ岳、赤兎山、白山・別山、そして鷲鞍岳。鷲鞍岳の山頂が近づいてきた。
 
 杉林を右に、広い残雪の道を歩き、大木のブナの並木を抜ける。ベンチを通過し小ピークを越えると南に道が派生しており、伐採地上部に出られる。ここは南側の展望地であり、眼下には緑色の九頭竜湖が美しい。展望を楽しんだら稜線に戻って、ピークに取り付く。頭上のタムシバの花を見ながらササ付きの明るいブナ林を登っていくと、すぐに鷲鞍岳山頂に到着。
 
 木々に囲まれた山頂からの展望はないが、木に葉が無いことから、周囲の山々が望める。落ち葉の積もった山頂には、三角点と文字の消えかけた看板、そして地面には山名標示板があった。しっかりした道が南に下っており、九頭竜ダムへのルートと思われる。キアゲハが三角点の周りを飛び回っている。ゴールデンウィークなので持ってきたコイノボリといっしょに記念写真を撮った。

 山頂の一角にシートを広げて昼食にする。小バエがいたので蚊取り線香をたく。メニューは味噌煮込みうどん。誰も登ってこない山頂で、ウグイスの声を聞きながら、のんびりと食事を楽しんだ。天然林で花の多い山なのに、連休でも登山者がいないのは実に不思議である。食後のコーヒーといっしょに、道の駅で調達した三色おはぎを食べたが、これがとっても美味しかった。

 下りは反射板方向に向かい周回する。キアゲハに別れを告げ、北へ向かう。なだらかな道を下っていくと、すぐに前方に反射板が現れた。反射板に寄り道すると、北側の展望が得られ、九頭竜湖や国道が見下ろせた。いつの間にか空は雲に覆われていた。コースに戻って急斜面を下る。ネット情報によるとこの辺りの道が不明瞭と記されたレポートもあるが、落ち葉に埋もれてはいるが黒いプラスチック階段が続いており、道を見失うようなことはなかった。ただ、ところどころに残雪があり、滑り落ちないように慎重に下った。前方には経ヶ岳が雲に溶け込むような色彩で横たわっている。セリバオウレンは地上に落ちた星のように白い可憐な花を咲かせている。ベニバナミヤマカタバミも見られる。

 ササ付きの天然林を一気に下る。一本杉を通過し、雰囲気のいい広い尾根を、ブナの大木を見ながら、急緩繰り返す。一旦登り返して、傾いたベンチを通過。この辺りの樹間から荒島岳がきれいに見える。長く急なプラスチック階段を、眼下に九頭竜川を見ながらの下りとなる。緑の無い林の中で、タムシバやキンキマメザクラ、ムシカリなどの花がよく目立つ。長い急傾斜を下りきると、木々に緑が見え始めた。西風が強くなった。
 
 ぐんぐん下っていくと、杉林が現れ、赤土の作業道を横断。最近整備された新しい道である。さらに下るとすぐに再び作業道が現れる。この先何度も作業道に出会う。荒島岳が次第に手前の山に隠されていく。登山道は一直線に急斜面を下っており、眼下の町並みが近づいてくる。道は更に急になり、倒れた鉄柵のある道となる。そしてその下で道はゼブラロープで通行止めとなり、左への道に誘導される。
 
 いきなりササの急斜面のロープ場となる。浮石もあり、落石しないように間隔をとってロープにつかまる。ずるずると滑るようにロープの先まで下ると、今度はカニの横ばい。水平に張られたロープを頼りに急斜面につけられた幅の狭い道を歩く。そして再びカニの縦ばい。何とか下りきって、人工林に出た。難関突破。ちょっと肝を冷やすルートで、万人向けではない。後に分かったが、この上部で出会った作業道を下れば下山できる。この危険な場所は通過しないほうが無難である。

 杉林をトラバースして、山際のアスファルト舗装の道に降り立った。後は山に沿って舗装道路を西へ歩けばいい。路肩には早春の花がこれでもかというほど賑やかに我々を歓迎してくれた。時間も忘れて写真をたくさん撮りながら、作業道への入口を通過して、九頭竜川を右に歩く。道に横たわる大きなアオダイショウに出会った。荒島岳を見ながら散りかけた桜並木の下を歩いて、国民休養地駐車場に戻った。

 すばらしい拾い物をした今回の山歩き。展望あり、たくさんの花あり、美しい天然林ありと言うこと無しの山を二人じめできた。道は比較的よく整備されているが、草木が茂る夏には道を見失うようなところがあるかもしれない。東の登山口付近の緊急ルートは難所であり、新しくできた作業道を利用したほうがいい。また、急斜面が多く、慎重な行動が必要。ほとんどが天然林であり、紅葉の時期もすばらしいに違いない。今度は九頭竜ダムからのコースを歩いてみたいと思った。

 帰路、再び九頭竜湖駅の直売所に寄って、名物のマイタケご飯を購入し、九頭竜湖を離れた。
★鷲鞍岳からの展望



★鷲鞍岳の花など

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